柚子と金柑

お知らせ

心にじわっと染みてきた詩発見

〔宇宙への要求〕

それらしくよくできた偽物の革靴よりも、ていねいにこしらえられたこの世に一足だけの靴がほしい
百人の賞賛よりも、ただひとことの深い慰めの言葉がほしい
一万人の読者より、ひとりだけ耳を傾けてくれる友人がほしい
週末ごとの騒がしい行楽よりも、真っ白な雲一片浮かべた静かな休日がほしい
三つのベッドルームより、小机を置いた東向きの部屋に風を導きいれる小窓だけがあればいい
高速道路はもういらない、落ち葉踏みながら歩く小道がほしい
答えはいらない、ぼくは詩が自分をどこに連れて行くのかを知りたい
恐竜についての知識はもういらない、人類がほろんだ後にやってくる新しい生き物の唄を聞きたいのだから
そしてぼくは歩いていくだろう、ぼくはぼくの欲しいものだけを求めていくのだという物語の中を
そしてぼくの欲しくないものは、じつはその宇宙には存在しなかったという事実を知るだろう
ぼくの発した言葉がまっすぐな光の束となって、虚空を突き抜けていく
その光は、百億年先の星雲を輝かせるだろう
宇宙はほんのり温かくなる
絵具も絵筆ももういらない
それからあとは、生きていることすべてが描くことと同じになる日々
そこからはぼく自身が、自分の描く絵になるだろう

2010年11月

島田啓介さん作

幼い頃から気があったいとこの旦那さんの詩
ご近所だったらふらーっと立ち寄ってたなぁーー何やら山の中の一軒家で繰り広げられているようで興味津々。行きたいなぁ

舞原さなえ   http://www.yutoriya.net/

柚子と金柑のお庭にて。瀕死だった300円に値下げされてたノボタンが、うちで健気に咲いています。幸せな気分♪連れて帰ってきて良かった。

 

TOP